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PROJECT STORYプロジェクト
ストーリー

難関プロジェクトを牽引したメンバーが、
当時の心境を赤裸々に振り返る。

日本初の
商用洋上風力発電事業
異例ずくめのプロジェクトに
チーム一丸となって挑む!

〜秋田港・能代港 洋上風力発電施設
への電気防食設備の設計・設置〜

2020年3月、秋田港・能代港の洋上風力発電の概要が発表された。
秋田港と能代港の港湾区域に風車33基を新設した、
総出力約140メガワットの国内最大規模を誇る大型洋上風力発電所。
鹿島建設と住友電気工業が共同で建設工事を担当するという内容だった。

本施設海中部の腐食防止のため、
電気防食装置の設計・設置を依頼されたナカボーテックは、
初めての防食対象物、
海外メーカーであるコロージョン社との協働という、
異例ずくめのプロジェクトを成功に導くために特別チームを結成。

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難関プロジェクトの最前線において、
どのように連携が生まれ、どのような化学反応が起きたのか…。
プロジェクトに参画した4人のメンバーが、
当時の心境を振り返る。

【 Episode 00 】
〜独占販売契約締結に向けて〜

コロージョン社との協働か単独か…
身構える相手にスタート地点に
立つことすら容易ではなかった

洋上風力発電は、風況立地が良い環境で事業開発が行われる。日本では海洋沖合で展開されるOil & Gas分野のビジネスは乏しく、ナカボーテックもその分野での実績・知見が不足していたことは否めなかった。

得意とする港湾・漁港・海岸とは異なる過酷な環境で、新しい事業を展開するにあたり、ナカボーテック単独で行うか、それとも実績豊富な欧州企業と協働するか…大きな決断に迫られていた。

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「オランダに行くぞ」

社長(当時)の名井肇が声を上げたのは、2019年12月のこと。中国で発生した新型コロナウイルスの流行が、瞬く間に世界中に拡大する寸前だった。

目的は、欧州の洋上風力基礎のトップメーカーとの連携協定を見据え、意見交換するための商談。現在、最良のパートナーとして一緒に活動しているオランダの防食会社、コロージョン社だ。

彼らは2008年より外部電源方式の電気防食「ICCP」(Impressed Current Cathodic Protection/外部電源カソード防食)※製品・サービスの販売を開始し、これまでに約2200基の風車基礎への納入実績を有している。

コロージョン社との連携協定に際して、交渉窓口担当に抜擢されたメンバーの1人がTだ。

image営業担当
T

B to Bの商売は会社対会社の関係ではあるものの、実際の話をする個々の関係性強化が重要だと思っています。もちろん独占販売店契約は担当者ベースではなく、両社の経営に関わる話。ナカボーテックの顔として責任感を持ってチームで対応しました。

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WEB会議前の上司との打ち合わせで、ナカボーテックからの主張や提案だけでなく、考え方をきちんと確認し、理解した上でプレゼン交渉に臨んだ。すべてヨーロッパ時間で会議を開催するなど、相手への配慮も欠かさなかった。

こうした地道な努力の甲斐あって、ナカボーテックとコロージョン社は洋上風力発電分野での事業展開を目的に、協働の覚書を締結。さらに、ナカボーテックが洋上風車基礎への同社ICCPシステムの独占販売を行う旨の契約を取り交わすことに成功した。

締結に漕ぎ着けるまで、約1年半を要したプロジェクトの序章はこうして始まった。

image営業担当
T

正直、弊社の主張に納得してもらえるようにどう話を進めればよいのか日々考える生活を送っていたため、かなりの緊張感がありました。

個々の関係性を大切にしながら、チームの目論見が見事的中し、信頼関係も構築できたようだ。

※外部電源方式の電気防食「ICCP」とは?

直流電源装置と難溶性電極との組み合わせにより、対象となる鋼材に対して強制的に防食電流を供給する方式のこと。秋田港能代港洋上風力発電所の洋上風力発電設備に適用されています。

外部電源装置の設備は、直流電源装置と通電電極のほか、ケーブル類と適切な防食電流を供給するためのセンサーである照合電極で構成されています。適切な防食電流を供給するためには、対象となる鋼材の電位が重要です。一般に電気防食で使用される外部電源装置は、事前に技術員が現地計測を行い、適切な電位の防食電流を確認したうえで、防食電流を流す方式です。

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一方、今回のプロジェクトでは、あらかじめ水中に設置した照合電極により、対象となる鋼材の電位をリアルタイムに読み取り、その値をもとに適切な電位となるよう、防食電流を自動供給しながら運転する制御方式を採用。これにより電気料金の省力化、適切な電気防食設備の運転を実現しています。

【 Episode 01 】
〜初めての洋上防食設計に挑む〜

クライアントの度重なる
変更や要望に、コロージョン社と
二人三脚で粘り強く対応

初めての洋上風力発電施設への防食設計。客先にとっても初めての建設工事となるため、構造変更の検討に伴い、設計条件の見直しや再設計など、修正・加筆・改定の回数も多く、要望も多岐にわたった。それでも粘り強く、コロージョン社と二人三脚で対応した。

初めて用いる材料の形状や取り付け位置については、コロージョン社から材料の図面や参考写真などを提供してもらい、構造物への取り付け条件を確認。何が障害となるかリスクを拾い上げ、何を自分たちで検討すべきか仕分けを行った。

エンジニアリングを担当したKは振り返る。

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imageエンジニア
リング担当
K

今回のICCPシステムは、防食を行う際の環境条件等を考慮して、FEM(有限要素法)による3Dシミュレーションを用いて確認しました。
初めての検討内容も多く、かなりひっ迫した作業となりましたが、技術統括と営業統括と力を合わせて乗り越えられたことで、チーム力と連帯感を感じることができました。

その後も現場での安全性と効率性を慎重に検討。満を持してプロジェクトの実行に臨んだ。

【 Episode 02 】
〜海外で材料製造・試験品の確認輸送〜

コロナ禍で計画が次々にとん挫。
日程が迫るなか、
このピンチをどう乗り切るか…

締結に続いて、コロージョン社の物流担当とのやり取り、輸入手続きや税関対応をTが担当した。コロージョン社の製品を輸入することは初めてだったこともあり、充分な情報がない中でのスタートだった。

image営業担当
T

短期間での対応を余儀なくされ、かなり焦りましたが、コロージョン社の物流担当や弊社の技術スタッフの協力を得て、目の前の課題を1つずつクリアしていきました。
関係者全員が状況を正確に把握し、同じ空気感や感情の機微を共有することが重要だとあらためて感じましたね。

このピンチにコロージョン社とナカボーテックのスタッフが一致団結。輸入通関手続きを滞りなく進めることができた。

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欧州では洋上風力工事を行う際、構造物が大きいため、事前に本物と同じ寸法、同じ構造のモックアップ(模型)をつくり、組み立てが可能かどうかを確認することがある。本プロジェクトでもモックアップを行うことなった。

コロージョン社の材料は、同社のオランダ工場で製造する。客先から立会検査を要求されたが、欧州で立会検査を行った経験がなく、しかも欧州人のエンジニアが主体となると聞いて、対応できるかどうか、正直不安だったと言う。
当時のことをエンジニアリングのKは語る。

imageエンジニア
リング担当
K

事前に検査報告書を取り寄せ、検査の内容や流れなどコロージョン社と打ち合わせを重ねました。施主や客先から承認をもらえてほっとしましたね。

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【 Episode 03 】
〜ICCPシステムの取り付け
・配線工事開始〜

まさかのコロージョン社SV
(supervisor/管理者)不在。
トラブルを乗り越えるたびに
強くなる、チーム力と連帯感

コロージョン社の材料が秋田港近傍の工場に搬入され、いよいよナカボーテックによるICCPシステムの取り付けや配線工事がスタートした。

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施工管理担当のSは、毎日昼休憩前に客先と各社代表が集まり、作業の進捗や午後の作業から明日の作業予定場所、クレーン作業など作業員立ち入り範囲の確認などを入念に行い、各施設の全体の進捗状況を共有しながら作業を進めた。

image施工管理担当
S

他業者の施工状況も確認しながら、少しでも違和感があったらすぐに客先と他業者に現場を確認し、修正・調整してもらいながら施工しました。

こうして、スケジュールに影響を与えることなく、33基すべてに電気防食装置を取り付けることができた。

image施工管理担当
S

前例のない新しい工事に挑むからこそ、地元秋田県の協力会社の職人さんをはじめ、関係者全員が同じゴールを目指す意識を共有し、ワンチームとなることが大切だと実感。
現場は鹿島建設のリーダーシップのもと、年齢やキャリアに関係なく、積極的にコミュニケーションが取れていて、とても良い雰囲気でした。

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実はこの取り付け作業、コロナ禍によりコロージョン社の説明要員が日本に入国できなかったため、WEB会議を中心に実施されたのだ。

コロージョン社のあるEUと日本では時差が約8時間。そこで、取り付け工事を行った際の写真と動画を撮影し、その都度コロージョン社と共有。取り付け方法や取り付け状態に不備がないかを確認してもらい、綿密かつ迅速なやり取りを重ねて何とか乗り切った。

imageエンジニア
リング担当
K

本プロジェクトにおいて、コロージョン社と協働しているものの弊社に施工責任があると考えていました。
そのため、それを念頭に置いてスケジュール管理をしつつ、満足のいく品質を担保できるよう、責任感を持って作業を指揮しました。

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緻密な施工検証を積み重ね、現場での安全性と効率性を何度も検討して挑んだ工事。それでも現場では予期せぬ事態が多々起こる。

そんなときこそ電気防食に精通した知見を生かし、協力会社とともにアイデアを出し合い、前向きな議論を交わしながら、問題を一つ一つ解決していくことも大きなやりがいだ。

【 Episode 04 】
〜洋上での試運転と本格始動〜

電気防食のスペシャリストたちが
現場と本社で連携

陸上での取り付け作業を行った設備は、順次、作業船で運搬され、秋田沖・能代沖の洋上に設置された。33基すべての設置作業が完了した後、ICCPシステムの試運転調整(動作確認)を行っていった。

試運転にあたっては、現場での直流電源装置の作動確認と設定調整はもちろん、東京本社の監視センターにて遠隔監視するためのシステム作動も確認する。

発電所の運転開始を遅らせることは絶対に許されない…。緊張感が走るなか、電気防食のスペシャリストたちが現場と本社で連携して挑んだ。O&M(Operation&Maintenance/運用と保守)を担当したOはこの時の心境をこう語る。

imageO&M担当
O

このときもまだコロナ禍で、コロージョン社のSVは不在。メーカーのトレーニングを受け、十分に準備をして試運転に臨みました。
不安はありましたが、今まで経験したことがないことに挑戦できるワクワク感のほうが上回っていましたね。

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現場では、CTV船(洋上に設置された風力発電設備にアクセスするための特殊な船)にエンジニアが乗り込み、水面高さ約30m上まで昇って設備に移動。CTV船の揺れを慎重に観察しながら、風車基礎の梯子に乗り移り、船に衝突されないようすぐさま安全なところまで昇りきる。

作業は陸地から離れた海上かつ高所で、強風や波浪のある厳しい気象や海象条件の下で行われる。特殊な環境だからこそ、転倒や衝突など事故の危険性が高まる。

image施工管理担当
S

洋上では神経を使う作業が続きました。ICCPシステムの受電と正常稼働を全機確認できたときは、喜びと感動で胸がいっぱいになりました。

電気防食は“経験工学”と言われるくらい、現場でしか学べないことがたくさんある。たとえ失敗しても、そこでしか学べない貴重な経験になるという精神が、この異例ずくめのプロジェクトを乗り越えられた原動力になっていたに違いない。

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【 Episode 05 】
〜稼働後のフォロー体制の整備〜

未来につなぐ!挑戦することで
生まれる新しい価値の種

秋田港洋上風力発電所・能代港洋上風力発電所の全面的な商業運転を開始した。稼働後は遠隔監視用システムを用いて、洋上の電気防食設備の稼働状況や防食状態を東京本社にてリアルタイムで遠隔監視している。

O&M担当のOは、客先およびメーカーとやり取りしながら遠隔監視システムを構築し、施設管理者とメンテナンス契約を結ぶなど、サポート体制を整備することに尽力。また、施設管理者からの問い合わせについて、社内で検討を重ねるとともに、コロージョン社にヒアリングして意見を収集するなど、知見を深めることにも余念がない。

プロジェクトで中心的な役割をしたエンジニアリング担当のKは、最後にこう締めくくる。

image▲東京本社の監視センター
imageエンジニア
リング担当
K

地球温暖化は、世界規模で極端な気温の上昇による熱波や強い台風、集中豪雨などの異常気象による災害の頻発、海水面の上昇などを引き起こしています。 私たちのエネルギー利用にも深く関係しているこの問題に、洋上風力発電を通じて地球や社会に貢献できること。その第一歩となるプロジェクトに関われたことは、大きな誇りです。この先、これまでとは違ったナカボーの新しい価値が生まれると思っています。

【 Episode 06 】
〜2050年カーボンニュートラル
実現にむけて〜

2051年に創立100周年を迎えるナカボーテックが新しい時代に貢献できること

顧客を第一に考え、時代に社会に貢献するためにチャレンジ精神を忘れず、社業に取り組む姿勢が経営の根幹を支えてきた。ナカボーテックが100年企業になる2051年には、新しい時代が訪れているだろう。

「いまある“価値”を次代へ!」をスローガンに掲げ、着実に歩みを進めているナカボーテック。新時代に向け、社長の木村はこう話す。

image▲木村社長とコロージョン社Martin社長
image木村

これまでナカボーテックは、持続可能な社会の実現に向けて、防食技術を通じた社会インフラの維持延命・防災減災・資源の有効活用といった形で貢献してまいりました。その使命は地球環境が抱える様々な課題が深刻化する中、今後益々重要になってまいります。
そして、今回、洋上風力発電施設の防食という仕事を通じて、既存インフラの維持延命にとどまらない積極的な貢献ができることをとても嬉しく誇りに思っています。
これからもナカボーテックは、ひたむきに防食技術を追求し、社会基盤の価値をまもり続けることにより、安全安心な日常を次代につなげてまいります。

プロジェクト開始から3年ー。成し遂げたのは、日本の社会インフラに貢献する仕事だ。ナカボーテックにとってもその意義は大きく、メンバーにとっても大きなマイルストーンになった。

私たちはこれからも、国境を越えて同じ想いをもつ仲間とともに、日本のエネルギー問題に取り組んでいく。国や言葉、企業文化の違いを乗り越えて紡がれた絆は未来につながり、新しい価値を生み出していく力になると信じて。

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