
ICCPシステム
(外部電源方式)とは
Impressed Current Cathodic Protection (ICCP)は、直流電源装置を使って通電電極から防食電流を供給することにより、洋上風力発電所の海中にある基礎構造物の腐食を防ぐ電気防食システムです。
ICCPシステムの特徴

動作管理
電流を流すための通電電極、防食状態を測定する照合電極、電流を供給・制御する電源装置、そしてシステムを遠隔で操作・監視するための専用の遠隔監視システム(ICCP-SCADA)で構成されています。直流電源装置は風車から受電した交流電圧を、防食に適した直流電圧・電流に変換して出力。通電電極から海水を介して防食対象物に直流電流を供給し、照合電極で電位を常時監視します。測定された電位に応じて出力電流を自動調整することで、最適な防食状態を維持します。
維持管理
ICCPシステムは、風車の運用期間を通じて安定した防食効果を提供するため、計画的な維持管理が必要です。遠隔監視システムにより、防食状態を日常的に監視・制御することが可能で、5年ごとにシステムの健全性評価を実施して、長期的な性能維持を確保。発電所の運転開始後は、専門スタッフによる保守管理サポート体制を構築し、安全・安心な発電所の稼働をサポートいたします。
ICCPシステムの
多様なソリューション
洋上風力発電設備の基礎構造物向けICCPシステムとして、多様な設置環境や条件に応じた最適なソリューションを提供します。
対応可能な基礎構造物例
- TPとMP分離タイプ
- TPの設置が不要なTPレスタイプ
- 水深50mを超える大水深型モノパイル
設置方法例
- ボートフェンダー(着船用梯子)への取り付け
- ROV(遠隔操作型無人潜水機)を
用いたMP本体への取り付け






GACPシステム
(流電陽極方式)とは
Galvanic Anode Cathodic Protection (GACP)は、陽極と基礎構造物との電位差を駆動力とし、海水や土壌などの電解質を介して防食電流を供給する、洋上風力発電所の海中にある基礎構造物の腐食を防ぐ電気防食システムです。
GACPシステムの特徴

動作管理
防食対象である基礎構造物よりも溶解しやすい合金(アルミニウム合金、亜鉛合金など)を陽極として使用。これを構造物と電気的に接続することで、両者間に生じる電位差により発生する電流で防食する方法です。構造物の海側外表面や内部など、設置環境に応じて適切な陽極材料を選定する必要があります。
維持管理
GACPシステムは、風車の運用期間を通じて容易なメンテナンスで高い防食効果を得ることができます。遠隔監視システムへの接続により、防食効果を常時監視することができ、発生電流測定装置(※オプション)を設置することで、陽極の残存寿命を推定することもできます。
ICCPシステムとの比較
ICCPシステムのような外部電源を必要としないことが大きな特徴です。必要とする耐用年数に応じて陽極の設計が可能であり、個々の陽極の電流出力がICCPシステムと比較して小さいため、多数の陽極を構造物に取り付ける必要があります。